IMG_2322

アフターコロナ——僕らはどんな世界に向けて生き残るのか

2020年を迎えた時には影も形もなかったのに、たった4カ月で世界の感染者数160万人、死者10万人を越えた(4月11日現在)新型コロナウイルス肺炎。

この災厄がいつ収束するのか、どれほどの被害を我々にもたらすのか、想像もつかないし、私は専門家でもなんでもないし、論じない。

新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)がいつ収束するかの話は、いっぱいあるし、専門の方が論じられているし、シロウトがとやかく言うべきことではないと思うから。

だから、今の災厄をちょっとすっ飛ばして、新型コロナウイルス肺炎の流行が収束した世界が、どんな世界になるか、SF的好奇心をもって考えてみよう。

僕らはどんな未来を迎えるのか。

今は、絶望的な状況に、悲観的な気分になり、パニックを起しそうになっているが、この流行はいつか終わる。その時に来る未来を予測して、より良いものにしたい。

マスクが前提の世界がやってくる

経済的予想と、病理災害としてコロナの収束時期にだいぶズレがあるように思える。

今の緊急事態宣言の期限や、企業や個人への補助金の議論は、コロナ自粛が1〜2カ月であることを前提としている。

しかし、医者・研究者の語る情報を見ると、そんな短期間でコロナ禍が収束するとはとても思えない。

外出自粛でコントロールして医療崩壊を続け、アビガンなどの治療薬で抑制しつつも、最終的にはワクチンの完成を待つしかない。これに1〜2年。しかも、インフルエンザの例をみても、微妙に変異していくウイルスを、ワクチンで完全に押さえ込むことはできなさそうだ。つまり、治療薬や、ワクチンが完成しても、コロナは世界から完全にはなくならない。僕らはコロナがある世界で生きていかなければならないのだ。

おそらく、マスク、もしくはそれに類するものはマナーとして定着するだろう。ここ1〜2カ月は、顔をさらしたまま人に会うと、ちょっと引かれるようになったが、それが定着するだろう。

広く売っていた不織布のマスクが枯渇して、いつの間にか布マスクや、自作マスク(当初は、安全性はどうなの?と思ったけれど)も定着した。

いつまでもこのままというわけでもないだろうから、マスクもファッションの一部として様々なスタイルが提案されるのではないだろうか?

世界的に、握手などの風習も廃れるだろう。

どこに住んだっていいんだから、首都圏の地価が下落する

まず、どう考えても、学校はリモートでの講義を可能なようにするべきだ。

今回の教訓を活かすなら、すべての児童にiPadやパソコンを渡して、コロナが収束するまで、また新たな伝染病が流行したら、リモートで講義できるようにしておく必要がある。

現在の状態が2年続くとして、リモート講義なしで学校が成立すると考えているなら、それはかなり楽観的だ。

もう、Zoomなどのビデオ会議システムや、YouTubeを使った講義、GoogleやAppleのClassroom、Classiなどを使って、課題の管理や、生徒とのコミュニケーションを行っていくのが普通になるだろう。

いや、そうしないと、今後安定して授業を行うことはできない。現状を見て1カ月で休校が終わるなんて、どんだけ楽天的なんだっていう話だ(たとえ感染者数が減っても休校をやめたら、増加に転じるだろう)。

同時に会社もそうなっていくだろう。

もちろん、リモートワークできる会社ばかりではないが、リモートワークできる会社な極力リモートワーク。

そうなると、自宅にワークスペースがあるのがあたり前になり、ほとんどの仕事はそこと、ビデオ会議で行なう……という人が増えていくはずだ。となると、六本木ヒルズやミッドタウン、渋谷スクランブルスクエアに払っている高価な家賃は無駄。

多分、あのあたりの大きなオフィスフロアを持っている会社は、月額の家賃で数千万か億のお金を払ってるのだろう(知らんけど)。

在宅ワーカーが増えれば、その家賃を削減できる。ならはこの機会に在宅ワークをアフターコロナにも活用して、家賃を下げるだろう。会社には物理的作業や、どうしても顔を合わせてミーティングしたい時にだけ行くような会社も増えるだろう。

となると、在宅勤務中心で、必要に応じて会社に行くようになれば、もっと遠方に住んだっていい。週に1回会社に行けばいいのなら、たとえば湘南や、小田原、御殿場(もしくは、いっそ新幹線で名古屋とか)に住んだっていいという人が出てくるかも。

となると、都心や通勤圏の地価下落などもあるかも。

東京一極集中、都心地価高騰、満員電車……などの問題が、コロナ禍をきかっかけに解消するとしたら皮肉な話だ。

働き方を変えるべきなのに、変えられない会社は多分2年も持たない

ハンコや書類が……っていうような会社は、おそらく1年も在宅勤務が続けば継続できないだろう。

つまり、ここからはいかに早く、ハンコワークなどを減らして、ネット上で出来る業務を100%にできるかというところが勝負になってくる。なにしろ、このまま1年、2年、そしてそのあとも続くかも知れないのだ。

苦しいところだが、今投資して、ハンコ不要の会計システムを構築しないと、ここから先、ずっと大変だと思う。

もちろん、物理的にモノを動かす仕事は、リモートというわけにはいかないが、なるべく人と接触する部分を減らして作業していく工夫がされるだろう。

働く側も、感染を恐れながら働き続けるのは非常に苦痛だ。早くもレジなどにはシールドが設けられているところが多いが、セルフレジなども増えていくだろう。

また、紙幣からも感染する。紙幣についたウイルスが2週間ほど生きるという研究結果もあり、可能な限り紙幣には触りたくないところ。FeliCaや、QRコード決済をより積極的に使う人が増えていくだろう。昔は『お金は誰が触ったかわからないから不潔』と言われたものだが、近年その感覚が薄れてきていた。あらためて、それは感染症に神経質だった時代の知恵だったんだなと思わされる。支払われる方も、紙幣を渡されるより「PayPayで」って言われた方が安心しているはず。

一番、悩ましいのが飲食店だ。

今は、1カ月、2カ月のガマンだ……という経営をされている方が多いと思う。しかし、シュリンクの期間が1年、2年となると、もう続けられる飲食店はほとんどないのではないだろうか?

テイクアウト、デリバリー前提にシフトしても、元のような利益を生み出すことはなかなか難しいに違いない。

たとえ緊急事態宣言が収束したとしても、すぐに前のようなサービスは難しいに違いない。個別にひとりずつや、家族が食べられるような個室になるのだろうか? それとも、テイクアウトがもっと進化していくのだろうか?

いずれにしても、人類と貨幣経済始まって以来、飲食店がなくなったことはない。絶対にまた隆盛の時代がやってくる。しかし、それはどういうスタイルなのか、いつ再び、僕らは集まって飲み会をできるのか。まったく分からない。しかし、集まって食事をする機会はいつかまたやってくるはずだ。

Zoom講義やZoom飲み、VRライブなどのネット体験に課金する、洗練された仕組みの登場が待たれる

スポーツや、エンターテイメントも厳しい。

ここも技術の進歩に期待するしかない。

ZOOM飲み会や、ネット経由の講演会に参加したが、まだ決済との連動が上手くいっていない。

たとえば、ZOOM飲み会の参加費3000円、講演会5000円をすぐそこで決済できる仕組みがあれば、ここは伸びる可能性があるのではないだろうか?

たとえば、リアルタイムで演奏されるライブを一番前の席でVRゴーグルと超高音質なヘッドフォンで楽しむ権利。1万円で、1万人……とかなら集められるタレントさんは多いのではないだろうか?

1000円で、100人集まってくれれば喜んで演奏するという人もいるだろう。

Zoom飲み会の課金が簡単にできるソリューションのエンターテイメント版。リアルに会える時代には必要のなかったものだが、これは絶対に必要になるに違いない。

スポーツもそう。お金を払って、観客としてVRで参加するようなソリューションが絶対に必要だ。そして、応援がなんらかの形で選手に届くようにする。そういうソリューションを作れないだろうか?

『コロナクリーン』な国の連帯と、『免疫証明書』

今や、あらゆる国が鎖国状態にあるが、これもいつかは解除されるはずだ。しかし、海外からの人に対して、当面は相当神経質になるだろうから、なかなか容易には解除されないに違いない。

たとえば、今後一部の国で流行が止まらず、一部の国で抑えられようなことがあれば、『コロナクリーン』の国の間だけ人の行き来が可能になるということもあるかもしれない。しかし、その領域に到達できるのはまだ当分先のような気がする。

そんなコロナの世界に特権を持った人が生まれる可能性がある。

それがすでに罹患し『免疫を持った』人たちだ。彼らは『免疫証明証』を持ち、自由に屋外に出歩いたり、海外に出かけたり、できるようになるかもしれない。

でも、一説にはすべてのインフルエンザに免疫を持つ人はいないように、あるタイプの新型コロナにかからなくても、他の変異型の新型コロナにはかかる……というようなものなのかもしれない。となれば、そんな特権階級は生まれないが、同時にワクチンですべてが解決するわけではないということになる。

また、ワクチンが出来たら出来たで、映画『コンテイジョン』のように、奪い合いや、貧富の差による入手タイミングの違いが生まれるのかもしれない。これはどうやって配分するのだろう?

「地震のあとには戦争がやってくる」と清志郎は歌った

新型コロナウイルスのもうひとつの問題は、『分断』の病であるということだ。

個人と個人、国家と国家。いずれも、どんどん分断されており、もう一度繋がることができない。

このコロナウイルスは強権国家の方が制御しやすい。

独裁国家、社会主義国家、共産主義国家の方が、いろいろな制限を加えやすい。民主主義・自由主義はこういう時に個々人の良識、教育に問わなければならない。

自由主義国家の方がダメージが大きく、独裁主義的国家の方がこの災害を乗り越えてなお元気なはずだ。そうなると、どんどん社会の天秤がそちらに傾いてしまう。

経済的には世界恐慌に近い状態になるだろうから、そういう時、一番恐ろしいのが暴力、軍事力で解決しようとする人が出ること。治安も悪くなる。借金をひっくり返すには戦争をするしかないのだ。戦争起こるかもしれない。それだけはなんとか回避したい。

若者は『壊れた世界で生きていく』のだと知っている

まだまだ、新型コロナウイルス肺炎が収まったら、元通りの世界がやってくると思っている人が多いと思うが、冷静にいろいろな現状発表されている部品を組み合わせただけで、出てくるのはこんな未来だ。

高度経済成長とバブルが終わって『今日より明日が裕福』な世界が終わった時。911でWTCに飛行機が突込んで世界のどこにも安全な場所などなく強大な軍事力だけが我々を殺すわけでないということに気がついた時。東日本大震災で巨大津波に街が飲まれるのを見て『我々の世界を破壊し尽くす天災』が物語の中だけのものではないと知った時。地球温暖化がもう止まらず、水温は上がり、気象はどんどん異常になっていくことを止められないと気付いた時。

パラダイムシフトは、これまでも何度か起こったが、今回が最大のものであることは、確かだろう。

僕らは昨日とは明らかに違う世界線に入り込んでしまっており、もう昨日には戻れない。

そして、僕たちオッサンはいつまでも『元通りになる日』を待っているが、若者たちは『この壊れた世界で生きて行く』のだということを知っている。

『天気の子』は『壊れたままの世界』で生きる若者へのエール〈新海誠インタビュー03〉
https://funq.jp/flick/article/566134/

アフターコロナを生きて行くということは、この壊れた世界を受け入れて行きて行くのだということだと思う。

(村上タクタ)

 

IMG_0427

サンウルブズvsチーフス戦、秩父宮観戦記

素敵な席で写真が撮りやすかった(笑)

初めて、年パスの指定を取ったのですが、なんと前から2列目ですごく写真が撮りやすかったです。そんなわけで、今回は個人ブログにしては写真ハイクオリティ目でお届けします(笑)

IMG_0410 2
この写真、よく見るとスタンドにリザーブの選手が座ってる。小倉とか。

お客さんの入りは1万8708人だそうで、トップリーグの試合が同日にいっぱいあった割にはよく入ったと思うでも、本当は満員になって欲しかったよね!

IMG_7032

グランドスタンドもバックスタンドもだいたいいっぱいだけど、コーナー部分はもうちょっと空いている感じでした。

バックスタンドのあんな前の席には初めて座ったんだけど、2列目だと全体の状況はちょっと分かりにくい。その分近くに来ると、バチンと身体の当る音が聞こえて凄いけど。

これまでのサンウルブズと違う戦いぶり

試合結果はご存じの通り……。やっぱり優勝候補ともいわれるチーフスは強かったです。主力を何人か置いてきてもこれだもんなぁ……。

サンウルブズはやっぱり前戦と同じく、ディフェンスの連携がまだ出来ない。でもここは時間のかかるところなんでしょうねぇ。

ちょっとしたギャップや、連携の切れ目をマッケンジーみたいな選手にスパーンと抜かれたり、逆に中央に寄せられて、大外にロングパスされた時に、もう外のディフェンスの人数が足りなかったり。

ディフェンス詰めるには時間かかるの分かってるから、 沢木さんはアタック重視で仕上げようとしているんでしょうけど、ちょっとチーフス相手ではそうもいかない。取り切れない感はありましたよね。

ディフェンスじゃなくて、アタックも。アタック時のラックに巻き込まれる人数が多いというか、逆にチーフスはそこに人数を割いていないから、スタンドで見てると常にチーフスの方が人数が多いように見える。日本代表はここをリロードの早さでカバーしようとしていたんだろうけど、急ごしらえのチームじゃそこまでなかなかできないんだろうなぁ。

でも、悪いことばっかりじゃない。

スクラム、ラインナウトが安定して取れるというのは過去のサンウルブズ(や日本代表)にはないことで、これだけで、試合の組み立ては大きく違うと思う。

前戦でもあったように、モールから押し切ってのトライもありました。これって過去のサンウルブズではあまりなかったパターン。

IMG_0347
短期間で、こんなに一体感のあるモールが組めるんですね〜! 谷田部がすごい顔してますが、普通の人間があの場所にいるとどうなるんでしょう(汗)

特にラインナウト! これまでのサンウルブズはラインナウト取れないから、なるべくタッチに出さないようにしないといけなかったけど、マイキーことマイケル・ストーバーク選手(グじゃなくてクだって、近鉄ライナーズオフィシャルTwitterのアカウントの方に教えていただきました(笑))2m04cmの加入は大きい。

IMG_0230

あと、バックスではベン・テオ良かったですよね! 現代CTBに必要とされるフィジカルがあって、ボールを持ったらかならず突破してました。素晴しい。

IMG_0276

フルバックのダーガヴィルも突破を図るんだけど、彼はもうちょっと蹴ったり、パスしたりも織り交ぜてもいいんじゃないかと思ったけど。もしかしたら、蹴ってもチェイスできる人がいないとかいう問題なのかもしれないけど。

学生動員と思いきや、大活躍の齋藤、フィフィタ

あと、なんといっても日本の学生選手が頑張っていた。

最初に話を聞いた時には「学生まで引っ張らないとメンバーがいないのか……」と思ったけど、なんのなんの。スーパーラグビーで全然物怖じせずに戦ってる姿には驚かされたし、逆に日本の大学ラグビーって本当にレベル高いんだなって思いました。

サンウルブズを経験した彼らは間違いなくRWC2023に来るよね〜とワクワクしました。ちなみに、RWC2019の31人のうちにサンウルブズ経験者は28人。サンウルブズがなくなったら、世界トップレベルの経験をどこで積むというのだろう……。

これを経験して、とりわけ、齋藤と中野に関してはこれを経験して、そのレベルを早稲田のチームメイトに伝えられるというのは大きそう。今年末の早稲田はきっと強くなる!

齋藤選手は本当、攻撃の起点として、活発にやってた。すごい!

IMG_0338

齋藤は外人選手にもバンバン指示出してたし、あの物怖じしない感じはすごいな……。テンポも速いしロングパスも投げられる。田中や流を見慣れた感じから言うと、ちょっと手数が少ない感じもするけど、まぁ、そこは経験値でしょう。

齋藤で最高なのは、その全力っぷりというか、必死さですよね。前戦も含めて「アカン! 抜かれた!」と思った時に、信じられないほど前から戻ってきた小さい齋藤がタックルして窮地を救う場面が何度もあった。

あの頑張りはもう泣ける。レベルズ戦でも、一連の流れで3回タックルに行ってたりしてるし、今回もスタジアムで見てると、一番頑張って戻ってる。抜かれた時に戻るのが一番しんどいから、それを全力でやれる齋藤は本当にすごい。

あと、驚くのはフィフィタの突破力。

学生……のはずなのに、完全にスーパーラグビークラス。そりゃ、こんなんいたら、関西大学ラグビーだと圧倒されるわ。

IMG_0269

レベルズ戦でもそうだったし、チーフス戦でもすごかった。完全にフォワード第三列な感じのフィジカル。なんでウィングやねんと言いたい(笑)

IMG_0387

反対側のウィングのタウタラタシ・タシもフィジカルのあるウイングだし、ここは福岡、松島、中鶴、レメキ、マシレワのような圧倒的スピードのあるウィングも一枚欲しいところ。サンウルブズがやっぱりスピードで戦うのなら、大外で一発抜けたらゴールラインまで駆け抜けられる走力のあるウィングは欲しいよねぇ。

そうそう、余談だけど、エイプリルからのキックパス撮り損なった時、フィフィタ、そうとう悔しそうで……がっくり肩を落として悔やんでて、観客席から「フィフィタ気持ち落とすな!」「お前やったら、次は絶対獲れる!」って声が上がってたのは胸熱でした。

活躍したジャバやジャレド

あとは心強かったのが、我らがジャバ・ブレグバゼ。献身的なプレーでフォワードを前進させてくれた。

IMG_0239

そして、『快速プロップ』として早くも名を馳せているジャレド・アダムス! 今回も走ってました!

IMG_0288

逆にちょっと精彩を欠いたかな……と思うのが、森谷。キャプテンとして、悩む部分があるのかなぁ。頑張って欲しい。

IMG_0296

というわけで、セットプレーが安定してはいるけど、ディフェンスに課題。両翼に超高速の香車が欲しいサンウルブズ。NZのチーフスには負けたけど、豪州勢には案外歯が立つかもしれない。海外転戦といっても、むしろ向こうの方が本国な選手も多いし。来週からのゲームも楽しみです!

なぜ、小倉順平はNTTコムを捨ててまで、サンウルブズに加わったのか?

そして、実は何より嬉しかったのが、試合前の練習で小倉順平選手の姿を見られたこと。

NTTコムで正スタンドオフの立ち位置にある彼が、なぜそれを投げ打ってまで、サンウルブズに参戦するのか?

トップリーグより、スーパーラグビーのシーズンの方が少し長いので、もしやシーズン終盤、危地に陥ったサンウルブズを助けるために参戦するトップリーガーがいるのではないかと思ったけれど。まさか、こんなタイミングでトップリーグの所属チームを投げ打ってサンウルブズに参戦するとは。

RWC2019に招集されず、小倉的にも期するところがあったのだろうか? 2023年、田村優がまだ出るかどうかは分からないが、同世代のライバルといえば、筆頭はおそらく松田力也。続いて、田村熙、山沢拓也などがいる。さらにヘイデン・パーカーも日本代表資格を得られるはずだ。ここから一歩抜きんでるのは尋常はことでは不可能だ。トップリーグで戦っている場合ではないと、小倉が決意を固めたのは分からなくはない。

IMG_0193

ともあれ、彼が加われば、ガース・エイプリルの一枚看板ではあなくなる。攻撃に多彩さも増すだろう。

彼の移籍を無謀という声もあるが、来シーズンのサンウルブズがどうなるのかは、何も公開されていない。スーパーラグビーから除外するとの知らせはあったが、それだけだ。

サンウルブズを解散するとも言われていない。

だいたいにおいて、どの業界でも重要な決定事項は、水面下で議論され、根回しが行われ、予算撮りが行われ、最終的にすべてが解決されてから公開される。

サンウルブズ、スーパーラグビー除外の決定は2019年の前半に行われている。

その当時と較べると、日本の中でのラグビーの市場価値も、世界のラグビー界における日本の市場価値もまったく異なっている。

サンウルブズが本当に強くなって勝負を面白くして、ジャパンマネーがスーパーラグビーにいっぱい流れるなら、それを拒絶できるほどSANZAARも裕福ではないと思う。

大久保HCや、沢木コーチ、小倉選手にとって、勝てば道が開けるという状況なのではないだろうか? だから、彼らはあそこまで鬼気迫る戦いを繰り広げるのではないだろうか?

……いや、一ファンのただの夢想でしかないのは分かってる。

しかし、実現すれば、とてつもなく楽しい夢ではないだろうか?

(村上タクタ)

IMG_8740

【サンウルブズ】狼たちは、なぜ戦えるのか?

まさか、勝つ理由がないようなところで勝つとは(汗)

最初に謝っておきます。ごめんなさい!

正直、今年は期待できないと思ってた!

だって、来年はなくなってしまうチームだよ!(正確には、スーパーラグビーに参戦できなくなるのだが、ならチームが存在する理由はどこにある?)

11月26日に発表された第1次スコッドが発表された時には、驚きもしたが、やっぱりとも思った。なにしろ、15人。補欠のいない高校の弱小ラグビー部じゃないんだから、どう考えてもスーパーラグビーを戦える体制じゃない。

どう考えても烏合の衆だと思っていた。なにしろ、過去のサンウルブズを経験しているのはジャバ・ブレグバゼだけ。「それって、違うチームやん!」と思った。あまり知らない海外から来た(多分自国のチームに入り損なった←と私には思われた)選手と、学生。いや、スーパラグビー、舐めとんかと。

IMG_8748
(写真は1年目のサンウルブズ。笑わない男、稲垣啓太もサンウルブズ所属でした。2019日本代表スコッド31人のうち、実に28人がサンウルブズ経験者)

だいたいにおいて、ラグビーほどモチベーションが大事なスポーツはない。会社が不正会計で批判されてた時の東芝とか、所属企業が問題を抱えた場合のトップリーグチームは弱くなることが多い。『誰のために』『何のために』戦うかがはっきりしないと、命がけでタックルなんて行けない。

だったら、今年のサンウルブズに戦う理由なんてない。

ワールドカップは終わった。日本代表の強化という目的も関係ない。今年勝とうがどうしようが、来年に続くことはない。

勝てるワケがない。

……と思いながら、実は初めてウルフパックに入って、秩父宮のシーズンチケットのS席を取ったけれど。でも、正直、今年は辛い試合を見続けることになるだろうなと思った。

狼たちはなぜこんなにも戦えるのか?

「なぜ、あなたはこんなに戦えるの?
あなたには、守るべき人も、守るべきものもないというのに!」

と言ったのはララァ・スンだが、戦いにはモチベーションがいる。

2020年第1戦のサンウルブズを見て、心の中で叫んだのはまさにこの言葉だった。新生サンウルブズのメンバーはなぜ戦えるのだろう?

今年、勝とうが負けようが、あまり関係ないはずだ。増してや、多くの選手は海外から来た選手。『ニッポンのサンウルブズ』の勝ち負けが人生に大きな影響を与えるとは思えない。

大久保直弥HCや、コーチングコーディネータの沢木敬介さんは一体どんな魔法をかけたのか。不思議なところ。たしかに、レベルズの調子が良くはなかったというのはある。それでも、スーパーラグビーで勝つって尋常なことではない。

なぜなのか? 今はまだ、分からない……。

IMG_5573

唯一、思うのが、サンウルブズのファンだろうか? これまでの選手や監督が『世界一のファン』と言ったサンウルブズの応援。ただ、ジャバ以外の選手はまだ秩父宮のファンの熱さをまだ体験していないはず。

明日なき狼たちの戦い

それぞれの人生の戦いがあって、明日なきサンウルブズの戦いにモチベーションを燃やせるのかもしれない。

それにしたって、レベルズ戦のトライシーンでの沢木さんの熱くなりようはすごかった。廣瀬さんのサンウルブズアンバサダーに加わった。

明日なきチームの、今日になぜこんなに多くの人が心を燃やしているのか?

そこへ来て、小倉順平選手のNTTコム退団してのサンウルブズ参加だ。

一体、何が起こってるのか? 布巻や、吉田杏は、パナソニックやトヨタ自動車に籍を置いたままの参加だ。所属チームのNTTコムを辞めてまでの参加とは尋常ではない。 実は、サンウルブズに心を寄せてる選手は多いのではないかと思う。 堀江翔太選手もtweetしているし、

稲垣啓太もtweetしている。

田中選手だって、姫野選手だって、山田選手だって、福岡堅樹選手だって、気にしてくれているはず!

もしかして、トップリーグ終幕後、サンウルブズに参加してくれる選手がいるのではないかと思っていたが、まさかの退団までしての参加とは。小倉選手にはビックリ!

とにかく、2月15日、彼らに何が起こっているのか? もしかして、勝ち続けたら、そこに何か未来が開けているのか?

秩父宮で見極めて来なければならない。ファンにできるのは応援することだけなのだから。

IMG_0225

秩父宮でお会いしましょう!

(村上タクタ)

IMG_5670

『ティア1』にならなくていいし、『にわか』でいい

ティアを定義する『格』というあいまいな概念

ラグビー日本代表は、プール戦で、ロシア、アイルランド、サモア、スコットランドに勝利し、史上初のベスト8入りを達成した。

特に、アイルランド、スコットランドの2カ国はワールドラグビー言うところのティア1(Tier 1=第一階層)に属しており、この2カ国を破ったことは、素晴らしい成果だ。本当に誇らしい。

では、日本は、この勝利によって、ティア1の国になれるのだろうか?

おそらく、なれない。

実は、ティア1国というのは、明確な定義があるわけでなく、強さはもちろんだが、歴史や、『格』というあいまいなもので決められている。

現在のティア1は、イギリスの4カ国とフランス、イタリアを含むヨーロッパの『シックス・ネーションズ』参加国と、南半球の『ザ・ラグビー・チャンピオンシップ』に含まれている、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチンの4カ国で構成されている。

すでに、日本のランキングは、現時点でも9位のスコットランドや、10位のアルゼンチン、12位のイタリアよりも上だし、ティア1昇格の資格があるような気がする。また、過去にはアルゼンチンが昇格したように、かならずしも絶対に昇格できない……というものでもないようだ。

しかし、そこにはやはり『格』というあいまいな基準があるし、そもそもティア1の10カ国のうちイギリス連邦の国が8カ国を占めており、英語を使わない国はフランスとアルゼンチン……というだけで、何をかいわんやというものだ。

ティアという仕組み自体がおかしい

では、日本は、なんとか提示される条件を満たし、ティア1に入れてもらうよう努力すべきなのだろうか?

ティア1国になると、ワールドカップの対戦に有利な日程が組めるし、そもそもワールドラグビーではティア1国の方が議決の際の票数さえも多いそうである。

しかし、その仕組み自体がおかしくはないだろうか?

まるで、20世紀前半の、宗主国と植民地のようだ。明治維新のあと、植民地にならずに済んだからと言って、宗主国側に立とうとした愚を彷彿とさせると言ったら言い過ぎだろうか?

IMG_6025

もちろん、『ティア』というシステムが存在する理由も分かる。ラグビーは番狂わせが少なく、フィジカル的に多くの試合を行うことが難しい。また、ご存じのように実力差の大きな試合を行うと途方もない差がついてしまって互いに得るものが少ない。そこに、ランキングとそれにおける試合制限というようなものが必要であることは分かる。

しかし、それは『ティア』などという階層社会的なものであるべきではないと思う。

日本はティア1国に格上げしてもらうのではなくて、ティア2の星として『ティア』という制度を壊すべきではないだろうか? あとに続く現在『ティア2』と呼ばれている国や、これからプレイヤー人口も増えていくアジア諸国のために、『格』などに左右されない平等な仕組みを提案することこそ日本のすべきことではないだろうか? ティア1に『上げてもらう』なんて、大昔の『名誉白人』白人のようで、大時代的だと思う。

ぜひ「ティア1にならなくてもいい、ティアという仕組みをなくそう」と声を上げて欲しい。

『にわか』と言わせたことこそを恥ずべき

ところで、私は『にわか』ファンだ。

父は大学時代からラグビーをして、その後も大学のラグビー部の顧問をしていたし、私も40年以上前、小学生の頃からラグビースクールに入って、中学でラグビー部を経験した(そして身体が小さかったので挫けた)ので、しばしばラグビー観戦はしていたが、今泉、堀越、吉田……あたりの時代から、2015の南ア勝利まで、ラグビー観戦からは遠ざかっていた。だから『にわか』だと思っている。

「僕は『にわか』でね」と言わざるを得ない雰囲気がある。

IMG_5703

「がんばって『にわか』じゃないファンになってね」なんて言われる。「トップリーグも、大学ラグビーも観てね」とか言われる(日本代表から好きになった人が観て、面白いかどうかは分からない)。「日本が敗退したあとの、準決勝、決勝を見ないと本物のファンじゃない」なんて言われる。

果ては使った絵文字のボールに白いストライプが入ってるだけで、鬼の首を取ったように「それはラグビーボールじゃありません!」と言われる。

違う! あなたたち『オールドファン』の圧力がイヤだから、『にわかです』とエクスキューズしているのだ。

ベテランファンは相手に「『にわか』です」と言われたら、言われたこと自体を恥じるべきだ。相手にエクスキューズを表明させる、新しいしいファンが入りにくい雰囲気を作っていたということなのだから。

そこで言うべきは「違いなんてない。僕らはOne Teamだ」ってことだと思う。

『脱にわか』を目指させるのではなく、エクスキューズなく誰もがラグビーを楽しめる世界へとベテランファンの方こそヒザを折って欲しい。

(村上タクタ)

IMG_6122

夢のようなラグビーワールドカップが終わるなんて信じない!【RWC2019】

日本が史上初めて進出した準々決勝。その死闘が終わって30分が経っても、誰も帰ろうとはしなかった。

まるで、夢が終わったことが信じられないみたいに。

いつまでも、拍手は鳴り止まなかった。

IMG_4208

勝機は本当になかったんだろうか?

3-26という最終結果をだけを見ると、そうは思えないかもしれないが、前半は拮抗した試合だった。

40分が終わって、3-5。

驚くべきロースコア。

日本は超強豪、南アフリカに勝つかもしれなかった。

IMG_6030

チャンスがあったとすれば、前半『ビースト』こと、テンダイ・ムラワリラがシンビンを食らっている間だったろう。日本は何度も攻め込んだが、ペナルティキック1本を取るのがせいいっぱいだった。ここでトライを1本取っていれば、展開は違ったかもしれない。

いや、たらればは言うまい。

日本はフォワード戦でなんとか拮抗を保とうとしたが、やはり劣勢はいかんともしがたく、田村の魔法のタクトに冴えはなかった。

田村の調子が良くなかったようにも見えたが、やはりフォワードが一歩前進するか、一歩後退するかで、田村が呪文を唱える隙があるかないかの差が出るのだろう。

南アのバックスのディフェンスの出足が恐ろしく速く、結果的に中村、ラファエレはボールを繋げず、いいカタチで福岡や松島、レメキに渡ることはほとんどなかった。

IMG_6015

 

戦術的には打つ手なし。では戦略的に勝ち目はなかったのか?

日本の頼みのフィジカルが後半炸裂することもなかった。むしろ、日本は後半の後半20分に足が重くなっており、さらに劣勢となった。

もちろん、自慢のフェラーリコンビも、マピンピ、コルビといったレーシングマシンを前にしては輝くことができなかった。

一時、福岡をスクラムハーフの位置において走らせたり、スクラムハーフからのパスを直接受けられる場所に配したりして、彼のスピードを使おうとしたが、それさえも完全にシャットダウンされた。

デクラークの出来があまりにも良かったとも思う。憎らしいぐらいに。

勝利の可能性はあったし、戦意は旺盛だったが、疲れはなかったろうか?

毎週連続、全身全霊の4戦の疲労が身体に蓄積していたのではないだろうか?

そういう意味では、26人で5戦を戦ったことは悔やまれる。経験を積ませたくて若手5人を連れてきたのだと思うが、結局使わないのなら、山下や、石原、バズ、布巻など、経験豊かなベテランを連れてきて、せめてサモア戦などで一部の選手を休ませた方が良かったのではなかったか。

いや、繰り言は言うまい。

日本代表は強かった。

しかし、油断がなく、本気で向かってきた南アは、さらに強かった。その本気を引き出せたということは、日本が世界のトップレベルのチームの領域に足を踏み入れたということでもある。

決勝トーナメントの頂上をめざすチームは、予選プールが終わって1段ギアを上げてきたが、日本代表にはそれを上回るギアはなかった。

プールの4戦を戦い切った日本と、もとより決勝トーナメントを戦い上がっていくつもりの国との差。これが、今の日本の立ち位置だ。

4年前からすると、あまりにもいい眺めではないか!

あまりにも大きな喪失感

トモさんは、日本代表を去る。福岡も15人制はこの南ア戦が最後となるはずだ。堀江も年齢的にも、古傷的にも4年後戦うのは難しかろう。田中もそうだ。リーチもそうかもしれない。

IMG_6213

もちろん、トモさんのような例もあるから、頑張ってくれるなら、それに越したことはないが、多くの選手がこの戦いを代表戦の最後だと思って戦っているはずだ。

IMG_6147

素晴らしかったラグビー日本代表の1カ月あまりの戦いは終わった。観戦している側としては、夢のような日々だった。

IMG_6260

もっと最高のワールドカップを見るためにすべきこと

5週間の戦いの、一番の収穫は、日本中にラグビーの面白さを知る人が増えたことだろう。

これは本当に大きなレガシーで、これ以上日本代表が強くなるには、トップリーグやサンウルブズが強くならねばならず、そのためには、大学や、高校が、強く、そしてラグビースクールに参加する子供たちが増えなくちゃならない。そのために、面白さを知る人たちの人数が必要なのだ。

4年後、8年後、12年後、16年後のワールドカップで活躍するのは、今日の戦いに心打たれた若者、子供たちだ。

そして、ちゃんとそのために(不器用ながら)トップリーグも、サンウルブズも声を挙げている(このチャンスなのだから、ワールドカップを成功させたレベルのマーケティングのプロを、早急に巻き込んだ方がいいと思うが)。

再来年が不透明なサンウルブズだが、SANZAARは日本のベスト8を見て、サンウルブズを追い出すのを撤回してくれないだろうか?

これだけラグビーの人気が高い日本になったのだから、南アのチームが来日するための資金ぐらいなんとかなりそうなものだが。

あと、無料で見られる地上波か、BSでの放映をやってくれないだろうか?

サンウルブズはちゃんとリクルーティングさえすれば、この史上最強の日本代表に、パーカーやボニーを加えた最強チームを作れるはずだのだが。それって、強くない?

トップリーグはトップリーグで、清宮構想プロリーグへの脱皮が図れるのかどうかという問題もあるが、こちらもテレビ放映など、メジャーになるための作戦を上手く展開して欲しい。

サントリーのマット・ギタウ、神戸製鋼のダン・カーター、ヘイデン・パーカーに加え、トヨタにオールブラックスのキアラン・リード、パナソニックにサム・ホワイトロックが入るなど、ワールドカップで活躍している超スーパースターたちもたくさん来日する。

上手く盛り上がるといいのだが。

あと、4戦、日本が目標とする強者の戦いを見守ろう

それにワールドカップはまだ終わっていない。

来週には、オールブラックスvsイングランド、ウェールズvs南アフリカ、再来週にはその勝者による決勝戦と、敗者による3位決定戦が見られる。

夢は終わらない。

まだまだ、続いていく。2023年のフランス・ワールドカップに向けて、日本の各リーグがどんな強化をして、どんな盛り上がりを見せていくのか、見守ろうではないか。

こんなに、ラグビーが面白いということに気付いた人が増えたのだから。

名称未設定 1

(村上タクタ)

IMG_5631

ジェイミーHCやリーチが修羅になる本当の理由。メンバーから外れた数十人のワールドカップ【RWC2019】

4戦でピッチに立ったのは、わずか26人

今、ラグビー日本代表として登録されているのは31人。そのうち、試合ごとに23人が登録され、15人がスタメンとして試合開始時から試合に出る。

今の日本代表は一戦たりとも手を抜けない状態で戦っているから、常にその時点でベストの選手を選んでいる。まだ、木津、北出、徳永、茂野、アタアタの5人は、試合に出られていない。が、決勝トーナメントに進んだことで、チャンスがあるかもしれない。

今回は、このトータルのスコッド31人に絞られるまでの話をさせて欲しい。

年初には100人を越える候補がいた

現時点で、桜のジャージを着ているのはたった31人だが、約1年前ぐらいまでは100人を越える候補がいた。

通常は、もっと絞り込んで、トレーニングをするのだと思うが、ジェイミー・ジョセフHCの方針で、非常に広いメンバーを候補として競わせたのだ。

特に今年の前半は、RWCTS(ワールドカップトレーニングスコッド)、サンウルブズ、NDS(ナショナル・デベロップメント・スコッド)の3チームでそれぞれ活動をしていた。

RWCTSは正代表に近い感じ。

サンウルブズはスーパーラグビーで毎週NZや南アの選手と戦えるので、激しい実戦感を養う必要があるメンバーが送り込まれた。

DSC03618

NDSは将来に向けての可能性を探る感じで、アジア諸国と戦ったり、スーパーラグビーのサブチームと試合したりした。ここは若手選手発掘のために使われた感じ。中島イシレリや、木津、北出などはここ選ばれた選手だ。

100人超から、徐々に41人に

そして、8月15日(つい最近だ)に41人に絞り込まれ、8月末に現メンバーの31人が発表された。

(BGMはリトグリのECHOで読んで下さい)

去年の今頃だと、もっと多くの選手が日本代表候補だったし、少なくとも初夏ぐらいまでは100人ぐらいが日本代表候補として、今のメンバーと切磋琢磨していた。

たとえば、今テレビの解説に回ったりしてラグビーワールドカップ盛り上げに貢献しているサントリーの畠山健介や、前ワールドカップで活躍した、真壁伸弥、山田章仁、ホラニ龍コリニアシも候補に入っていたはずだ。

日本ラグビーを盛り上げるべく、笑顔でマイクを握ってくれているが、本心はピッチに立ちたかったろうし、悔しいはずだ。

非常に大きな人数から絞り込んだから、8月15日からの合宿に、41人が選ばれた時も、悔し涙を飲んだ選手も数多い。

クルリを身体を返す『忍者トライ』で人気を博した山田章仁が選ばれなかったのは不思議だったし、日本代表の切り込み隊長だったハルこと、立川理道が選ばれなかったのは、僕らだって悔しかった。

優秀な日本人選手が数多いフロントローは特に争いが激しく、バズこと浅原拓真、垣永真之、日野剛志、庭井祐輔など、本当に誰が日本代表として出てもおかしくない巨漢のタフガイたちが落選したのは本当に残念だった。

このポジションはもともと、日本人選手が多かったのに(逆にロックなどは日本人の選手だけでは、ワールドクラスで戦うのは難しい)、最終的に具選手や、中島イシレリ、ヴァルアサエリ愛など海外出身の選手がメンバーとなったのはむしろ意外な選択だった。

スクラムハーフのメンバー争いも激しく、現3人の他にも、矢富勇毅選手、日和佐篤、内田啓介がいた。フランカーの金正奎も日本代表にいて欲しい選手だったし、バックスでいえば、山沢拓也、梶村祐介、藤田慶和なども可能性はあった。

また、日本代表候補として考えられていたが、日本代表資格が得られなかった選手として、ラーボニ・ウォーレンボスアヤコが挙げられる。ジェイミーHCは彼を、No.8だが、センターとしても使える選手として育てようとしていた。実現していれば、No.8もカバーしつつ、猛烈なフィジカルで突破するセンターが1枚加わったに違いない。

その他にも、日本居住期間の問題でまだ参加できない選手として(本人に日本代表になる気があったのはは私は知らないが)、超天才キッカーのヘイデン・パーカー、エドワード・カーク、ウィリー・ブリッツ、マイケル・リトル、ホセア・サウマキ、セミシ・マシレワ、などの選手が挙げられる。いずれも、サンウルブズのために身体を張ってくれた選手たちで、日本代表になっていれば、ヴィンピー・ファンデルバルトや、ピーター・ラブスカブニのように活躍してくれたに違いない。

31人にするために、最後に切られた10人

最後、8月末に、41人から31人に絞られた時は、もっと辛かった。本当に辛かった。

ここで落選したのは、石原慎太郎、三浦昌悟、山下裕史、山本幸輝、堀越康介、アニセ・サムエラ、布巻峻介、梶村祐介、ティム・ベネット、野口竜司の10人。

4年に渡って、今の日本代表と一緒に戦い、合宿を行い、厳しいトレーニングを行い、紅白試合で戦い続けたメンバーだ。今の日本代表は本当に強いが、この10人の誰が選ばれたって、同じように活躍したと思う。なのに、最後の最後に選ばれなかったのだ。

特に、山下と布巻は、筆者にとってもずっと応援してきた選手なので、本当に出て欲しかった。

(ここで、BGMは米津玄師の『馬と鹿』に)

桜の戦士たちが勇敢なのは、ここにいない仲間の思いを背負っているから

ジェイミーHCと、リーチ・マイケルが本当の意味で修羅になったのはこの時だと思う。

敵と戦う前に、仲間を切らねば前に進めないのだ。

31人のメンバーを発表する時のジェイミーHCは本当に辛そうだった。日本代表が選ばれる晴れの日なのに、笑顔など微塵もなかった。選ばれたメンバーも、嬉しいはずだが笑顔はなかった。

選ばれなかったメンバーは、すぐに荷物を持って合宿所を去った。どんなに辛かったろうか(この時のメンバーには共に戦うOne Teamの証として、リーチから日本刀渡されたのだそうだ)。選手によっては、年齢的に次の機会はないはずだ。

今の日本代表に決して浮ついたところがないのは、その10人、そしてさらにその背後の60人以上もの候補の想いも、くやしさも、努力も背負っているからなのだ。

IMG_5686

堀江のタックルが鋭いのは、バズや、日野の想いが背後にあるからだ。稲垣がアイルランドの巨大なフォワードの壁にも立ち向かえるのは、山下や、布巻が背後から後押ししているからだ。トモさんや、姫野が何度でもタックルしてすぐに立ち上がってまたタックにいけるのは、このピッチに立てない仲間の想いを知っているからだ。

選ばれなかった選手は、あの世界が注目するピッチに立てないと分かった後も、相手となるチームを研究し、仮想敵となって練習相手としてグラウンドに立ち続けているという。まだメンバーとして出ていない徳永も、ウォーターボーイとしてベンチとグランドの選手の情報のやりとりをサポートしつづける。単なる伝令ではなく、グランドに立つ選手と完全に同じレベルで戦術を理解しているのだから、当然話は早いし正確だ。

60分を過ぎ、一番、苦しい時間帯。息が上がり、心臓は限界を訴え、太もももが上に上がらなくなった時にさえ、中村や、ラファエレ、松島や、福岡になおも全力疾走をさせるのは、野口や、梶村、出られなかった選手たちの想いのはずだ。

ワールドカップが始まってからラグビーファンになった人にも、ぜひそれを知って欲しい。そして、いつか彼らに逢うことがあったら、感謝を伝えて欲しい。「日本代表の大躍進はあなた達のおかげです!」と。

ジェイミーHCやリーチが鬼になるのは、もう最愛の味方を切ってあそこに立ってるからだ。具や、田中や、田村は、それを背負ってグランドで戦っているのだ。

だから、日本代表は強い。きっと南アにも正面切って立ち向かっていくはずだ。一歩も引かない日本代表の向こうに、さらなる扉が開かれるはずだ。そう信じている。

(村上タクタ)

※敬称略です。すいません。
※趣味のブログなので、一部不正確なところがあるかもしれません。間違ってたらごめんなさい。ご指摘下さい。修正します。取材して書いているわけではないので、一部妄想が入っています(笑)ご容赦を。

 

IMG_5667

そう簡単には南アには勝てない【RWC2019】

レイドローめ、泣かせやがる!

スコットランド戦は感無量なので、言うことはありません。
 
2015年南アの奇跡の直後に大敗。さらに僕が初めて見に行ったテストマッチである2016年の味スタでの試合でも16-21と敗北。
 
グレイグ・レイドローには本当に煮え湯を飲まされ続けてきたので、常にツンと澄ました彼を本当に憎く思っていたのだが、インタビューでは「日本は本当に素晴らしかった」と言いつつ、ポロポロと涙をこぼした彼の澄ました顔の下にある気持ちに心打たれて急にファンになった。レイドロー、カッコええ!
 
というわけで、スコットランドは本当に日本がこの4年間勝ちたかった国。素晴らしい試合だった。
 
というわけで、次は南アフリカ。

テレビ見てると、意外と南アに勝てると思ってる怖さ

オールブラックスの強さは知れ渡ってますが、南アは「前回勝った国」という認識で、テレビ見てると、なんとなく今回も勝てるだろうと思っている人がいてビックリ。勝てるワケがないのに、勝ったから奇跡なのに。
 
8強に出そろった、イングランド、オーストラリア、ニュージーランド、アイルランド、ウェールズ、フランス、南アフリカはいずれも、超強豪国です。天下一武道会でいえば、並の人間やクリリン達が敗退したあとに残ってる、スーパーサイヤ人とモンスター級の選手しかいない状態だ。
 
人種差別政策が終わって95年に初出場して以来、7大会、日本にとって悲願だったベスト8は一度も逃したことがない……つまり当たり前です。優勝2回、3位2回。

前回の勝利を貶める気はないが、南アのメンバーはほぼフルメンバーだったとはいえ、南アに油断がなかったとはいえない。対して、今度の南アに油断は微塵もないだろう。

南アにはスーパーラグビーのチームが、ライオンズ、ブルズ、シャークス、ストーマーズの4つある。中でもライオンズは2015〜2018年の3年間に渡って、ハリケーンズやクルセイダーズといったオールブラックスのメンバーを大勢擁するニュージーランドのチームと、決勝を戦ったチームだ。

(文字通り)『ビースト!』

そんな、4チームのメンバーが集結してるのが南アフリカ。キャプテンは、フランカーのシヤ・コリシ。ロックには2m超の選手が4人。エベン・エツベス、ルード・デヤハー、ピーター=ステフ・デュトイなど、いずれも(文字通り)世界最高峰のロックだ。プロップのテンダイ・ムタワリラは彼にボールが渡って走り出すと『ビースト!』との掛け声が上がるまさにビースト級の選手。117kgの体重で野獣のように駆けてくる破壊力はまさに世界一。

余談だが、今回横浜でリーチがボールを持つと『リーチ!』との声が上がっていたが、あれはテンダイ・ムタワリラの『ビースト!』を模してるんだと思う。

南アフリカはもともとフォワードの評価の高いチームだが、多彩なキックを得意とするスタンドオフのエルトン・ヤンチース。最近評価急上昇中のスクラムハーフ、ハーシェル・ヤンチースが加わって、バックスの攻撃力も凄まじくなっている。ハーフにはベテランのファフ・デクラーク。超突破力のあるCTB、ジェシー・クリエル、日本のWTBに負けずに速く、さらに突破力のあるマカゾレ・マピンピ、スブ・ヌコシ、ウィリー・ルルーなどのスター選手がラインを構成する。

はっきりいって、ここからは、一試合一試合が、敗北即終了なので、超強豪国が最初から情け容赦なく来る。ゴングが鳴った瞬間から、スーパーサイヤ人モードってことだ。

日本代表は重い8強の扉を開けたけれど、扉の先は文字通り『人外』の強さの世界。

アイルランドとスコットランドについては、コーチ陣が何年も研究して、弱点を探って、選手たちもそのためのトレーニングをしてきたからこそ勝てたが、ここから先はそれが、多分ない。

南アの研究をどのぐらいしているか? 想定した練習をどのぐらいしているかが勝負の鍵になってくるだろう。

逆に、ワールドカップ直前の練習試合で7-41で惨敗していることは、あまり気にしなくてもいいと思う。あの試合で日本は、ほとんど手数を出さなかった。田村も迂闊なところに蹴っているように見えたが、ワールドカップのために用意されていた作戦は使用を禁じられていたのではないかと思う。だから、ちょっとぼんやりとした敗北になった。

日本には手立てはあると思う。しかし、本気の南アフリカに勝てる可能性は1/3もないと思う。

勝利に湧いてる日本が意気消沈しないか心配だが、負けても落胆する必要はない。日本代表が立ち入った領域は、それほどの強豪たちの世界なのだ。

南アに勝って欲しい個人的理由


もうひとつ、個人的には意識するものがある。
日本代表の躍進を支えた、日本のスーパーラグビーチーム・サンウルブズは2020年度限りでスーパーラグビーから除外される。

対戦のための移動コスト(日本への)がかかり過ぎる、サンウルブズが弱過ぎて勝負にならない、もともとサンウルブズを入れたのはアジアマネーを期待してのことだったのに、思ったほどアジアでラグビーが普及しなかった……ということなのだが、この意見を後押ししたのが南アフリカだったのだ。

これは、南アが2019のワールドカップに立候補したのに日本に負け、2023年のワールドカップこそはと思っていたのに、日本がフランスに票を投じたことに対する意趣返しだという話もある。

一方、JRFUや、トップリーグのチームは、もともと2019年ワールドカップの日本代表強化のためにサンウルブズを作っただけで、それ以降サンウルブズを継続させる気はなかったとの声もある。

IMG_4817

展開し、継続し、ラインの背後にキックし、群れのチームワークで狩りをする、今の日本代表の戦い方は、明らかにサンウルブズで培われたものだし、稲垣、堀江、姫野、マフィ、田村、田中、トゥポウ、リーチ、松島、ヴィンピー、ラブズカプニ、中村、そしてもちろん福岡など、多くの選手はサンウルブズに籍をおいて戦っていた。

サンウルブズの未来は閉ざされたままだが、日本が勝ち続ける、とりわけ南アに勝つことで、「これでも、スーパーラグビーに日本のサンウルブズは不要なのか?」と問いかけることができるような気がする。

前述の通り、決してたやすい戦いではないけれど、可能性はゼロではない。可能性は高くはないとは思っているけれど、夢を終わらせないために、ぜひ南ア戦に勝って欲しいと思っている。

(村上タクタ)

IMG_5905

ロシア惨敗。日本の決勝リーグ進出条件はどうなったか?【RWC2019】

ロシアに対して、スコットランド圧勝

スコットランドが日本戦に主力を温存し、ロシア戦はそれ以外のメンバーを中心にスコッドを編成した……ということで、もしやスコットランドはロシアに苦戦するのでは……? などと思ったが、まったくそんなことはなかった。

スコットランドvsロシア 61-0

ということで、スコットランド圧勝である。

試合開始直後はロシアのプレッシャーも強く、「これはもしや……」と思わせてくれたが、かなりうっかりなミスによる2トライ、3トライ目が良くなかった。これにより、緊張感が切れてしまったらしく、スコットランドの圧倒的な試合になった。

7点差以内の負け……以上が条件

というわけで、いよいよ、日本とスコットランドの直接対決を残すのみとなって、日本の決勝リーグ進出の条件を考えるのはシンプルになった。

要は勝てばいいのである!

2015年に日本の決勝リーグ進出を阻んだ宿敵。過去の対戦成績は7戦全敗。前回のフォワード戦の敗北と、コツコツとキックを冷徹に決めていくグレイグ・レイドローの冷静な顔が思い出される。

いずれにしても、宿敵スコットランドを倒さねば前にはラグビー日本は前に進めないのだ!

といいつつも、一応現状のポイントを見てみよう。

IMG_3930

直接対決となる、日本とスコットランドの点数差は4点。

つまり、勝てば文句なし。引き分けでも文句なし。

ただし負けてしまうと、同ポイントで並ぶ。同ポイントで並んだ場合、直接対決の勝者が勝ち残るということになっているので、この場合はスコットランドが選ばれる。つまり、敗北同ポイントなら、日本は決勝リーグには行けない。

ただし、7点差以内の負けでもらえる1ポイントがあれば日本の方が上回れる。つまり、日本は7点差以内の負けは許されるのだ。

しかし、その場合はスコットランドだけが4トライのボーナスポイントを取らないことが条件となる(日本も負けながらも4トライ以上取るという可能性もある)。

まとめると、日本が決勝リーグに進むための条件は『勝利、引き分け、7点差以内の負け(ただしスコットランドだけが4トライ以上を取った場合を除く)』ということになる。

それを考えると、ガッチリと守って、フォワード戦に押し負けず、タックルを雨あられと降らせて点を取られないこと……になるかもしれないが、日本は日本らしい戦いをして買ってくれればいいわけで、受け身に回らない方がいいのだろう。

この4年の集大成。今、日本ラグビーの歴史の転回点となる一戦。それがこのスコットランド戦だといえるだろう。

もっと複雑なことが起こる可能性

実は3つ、特殊条件がある。

ひとつはアイルランドの勝ち負け。土曜日12日のサモア戦でアイルランドが負けるようなことがあれば、アイルランドが予選プール敗退となる。そんなことはないだろうが。

もうひとつは、アイルランドが勝って、かつ4トライのボーナスポイントを取らなかった場合。その場合アイルランドは15ポイント。で、日本が負けたが7点差以内のボーナスポイントを取り、スコットランドも4トライのボーナスポイントを取った場合。この場合、3すくみとなり、互いの勝ち負けでも勝敗が決まらない。となると得失点差が問題になるが、現在得失点差ではこのパターンだと日本は敗北することになりそうだ。

最後に天候。荒天中止だと引き分けというルールだが、現在代替開催の可能性を探っているとも言われる。日本vsスコットランド戦、アイルランドvsサモアのどちらが中止になっても日本は決勝トーナメントに進める。

IMG_3903

が、しかし、そんなことは誰も望んでないだろう。

スコットランドに勝利し、決勝トーナメントに進む。それが我々ファンの望みだし、日本代表が4年間目指してきた目標だろう。

13日夜。すべてが決まる。

(村上タクタ)

IMG_5667

ニワカのサモア戦、現地観戦秘話。3トピック【RWC2019】

サモア戦、現地観戦楽しかった。

昨夜は、サモア戦の総括でもしようかと思っていたけど、僕みたいなにニワカがする必要もないかと思ったので、現地観戦でのトピックを3つ。

ちなみに、日本戦はこの1戦しか取れなかったので(しかも3枚じじゃなく2枚しか取れなったので、妻にテレビ観戦にしてもらって息子と行った)、こんな感慨も今回限り。

1.現地で見ると、メンバー配置で次のアタックが分かる!

安いカテゴリーDの2階席(それでもイチマンエン!)だったので、すごい上の方だったのだけれど、俯瞰して観られるの面白かった。

IMG_3712

※選手の顔も双眼鏡がないと区別つかないし、アストロビジョンも遠過ぎて見えない(笑)

特に、終盤、福岡と、松田が入ってからは、バックスの陣形が目まぐるしくかわって面白かった。これはテレビでは観られない現地観戦ならではの楽しみ。

2トライ取ってからは、防御より攻撃というウェイトのかかり方がすごくて(勝負が見えて来たから4トライを取る方に賭けた)、サモアのフィジカルを止めるための山中、中村という体格に勝る2人より、選択肢の松田、スピードの福岡というチョイスだったわけ。

上から見てると、田村がスタンドの位置に立って、松田はインサイドセンターの位置に行ったり、フルバック的位置に、松田が行ったり、レメキや、松島が行ったり。

IMG_5747

息子に「右側にレメキと福岡がいるよ!」と言ったら、松田からレメキが突破して、福岡が快速を飛ばしてトライを取ったり。

最後のシーンも、松島がフルバック的位置から一気に左に回って、松島と福岡が横に並ぶような格好になっていて、「あそこ、人数勝ってる!」と言った瞬間に、スクラムから姫野が飛び出して田中から、松島にロングパス。福岡が外側をサポートしながら、4本目のトライ! っていうシーンが観られた。

画面外の選手の動きが観られるのこそ、現地観戦の楽しみだなぁと思った。

反面、モールの中のジャッカルとかは、誰が何をやってるのか、遠過ぎてまったく見えない(笑)

(ちなみに、写真はフルサイズ一眼に300mm単焦点付けて取ったのをトリミングして拡大しているで、肉眼ではこんなに見えてない(笑))

2.多分、一番物議をかもしそうな、ウェーブとオールファン問題

今後、物議を醸しそうだなぁ……と思ったのは、55分の姫野のトライのあとのウェーブ。
NHKでは「盛り上がってますね」って言ってて、J Sportsでは若干苦言を呈してたけど、会場では南側から東西に大きく回っていって、北側のゴール側まで回った長時間のウェーブだった。

オールドファンの方なら「キッカーがキックする時は静粛にするのが、ラグビー観戦のマナー」と言うだろうし、僕もこれについてはさすがにそう思った。

最後のトライの後の、田村のキックの時の手拍子もね。

IMG_5703

※これはトライ時の歓声で、キックの時でありません。

まぁ、昔のラグビーの観戦マナーといえば、腕組みをしてムスリとしhて、「味方がトライしても、敵に失礼だから歓声は挙げない。敵がトライしたら拍手するのがマナー」というような感じだったから、ベテランの方がそういう気持ちになるのは分かる。

同様のことは、SNSの投稿のアイコンでアメフトのボールを使っていたると、鬼の首を取ったように「それはラグビーのアイコンじゃありません!」と指摘する人にもいえる。

マナーも分かるし、違和感も分かる。しかし、どんな趣味も盛り上がりに冷や水をかけるのは「古くからのファン」だ。新しいファンが入ってくることを歓迎したいなら、ここは言いたいのをグッと我慢して、それこそ腕組みして、黙っているべきではないだろうか?

僕みたいに、一応少しは知ってる人間でも「アハハ、いやニワカでね(笑)」と言わないといけないぐらい、ベテランさんの圧は強い。いや「ニワカ」という言葉が出てくること自体そういうオールドファンの圧の強さを表しているんだから、ベテランファンは猛省するべきだと思う。

(と、言いながら、僕もキックの時だけは静かにして欲しいなぁ……)

ラグビー関係者が夢にまで見た、日本全国を巻き込んだラグビーブームだ。それに、冷や水をかけるオールドファンにだけはなりたくない。

ちなみに、プレイが止まっている間の、三三七拍子や、フレディ・マーキュリーの「エーオ!」の掛け声は運営側がスピーカーで呼びかけている。運営は盛り上がれと言ってるのだ。

また、J Sportsのインタビューで田村は「キック練習の時にジェミーが横に立ったりして、そういう訓練もしているので、気になりません」と言ってる。

3.試合後、入り交じって礼と、その時のBGMに感激

テレビの録画を見直して、残念だったのが、試合後の会場の雰囲気だ。

サモアの選手も、日本の選手も、死力を尽くして戦って、お互いリスペクトしているのだろう。ジャージを交換して、さらに、両チーム、入り交じって観客席に向かって整列して礼をしてくれた。

IMG_5831

ちなみに、ジャージ交換しているので紅白がサモアの選手だったり、青が日本代表だったりもする。また、最近のジャージはピッタリ過ぎて、交換しても入らない(笑)ケースが多いようで、稲垣ななんかは青いジャージを肩からかけているだけだったり。

IMG_5820

帰宅してから写真を拡大してみると、青いジャージの福岡や中村、堀江がいたり、徳永やトンプソンも入ってきてたりして、両チーム入り交じっての交換は本当に感動的だった。

他のチームの時もこういうことあるのかな。会場行ったから見られただけなのかな。

BGMはB’zの「兵、走る」で「ゴールはここじゃない! まだ終わりじゃない!」と言われて、「そうだよなぁ、来週はスコットランド戦だなぁ」と思ったり、米津玄師の「馬と鹿」が流れて来て、戦ったはアストロズとサイクロンズだったっけ? と思ったりで、選曲の良さに感激した。

そういえば、ハーフタイムはアストロビジョンにCountry Roadが流れて、思わず原曲の方を歌ってしまったけど、あれは山本幸喜選手発案の「ビクトリーロード」を歌わせたかったのだろうか? だったら、歌詞をスクリーンに出して欲しかったなぁ……(著作権的になにかあるのかもしれない)。

スコットランド戦の向こうと、ワールドカップ後の世界

テレビをつけても空前のラグビーブーム。これまで、いいねが1つか2つかつかななった、僕のラグビー観戦の投稿にいいねが100以上もついたりもする。

選手たちは、まずはスコットランド戦だけれども、このブームをトップリーグ、サンウルブズに繋げていくために、僕らは、どうすればいいんだろうなぁ……。

会場で、サモアの選手のジャージのゼッケンが剥がれてくるのが気になってね。日本のハイテクジャージに対して、人口20万のサモアは、渡航費も宿泊費も大変だと聞く。

ラグビーがブームになるにつれて、サモアやフィジー、トンガといったアイランダーが(合宿期間や人数なども含め)勝つのが難しくなっているのかもしれない。

今回がんばってお金もかけた日本の躍進、これからアメリカやロシアが強くなりそうなことを考えると、少し寂しさもある。日本でブームになって、韓国や中国、香港、台湾などのアジアのラグビーが盛り上がるといいなとも思うが、変わって行くラグビー世界に寂しさも感じる。

ともかく、まずは、みなさん、ニワカファンを大切に。

(村上タクタ)

IMG_5722

サモア戦に勝利! 日本代表が決勝リーグに進む条件は、どうなった?【RWC2019】

まずは本当におめでとう!!!!!!

楽観論なんて吹き飛ばすぐらいの激戦を経て、日本代表がサモア戦に勝利!!

今、豊田スタジアムからクルマで東京まで帰ってきたところですが、いまだに信じられないような感激に、ぼーっとしています。夢のよう。

歓声、悲鳴、声援……ともかく、声を出し過ぎて喉が痛いです(笑)

IMG_3704

サモア戦に関しては明日また少し落ち着いてから書くとして、この結果を受けて、日本代表の悲願であるベスト8進出の可能性がどうなったかをまとめておこう。

スコアのことばかり考えるのもどうかと思うが、あのアイルランドもボーナスポイント(BP)のことを考えて最後蹴り出したし、サモアが今日、最後にスクラムを選んだのも、最後にトライできて7点以内に追付けば、決勝リーグに進める可能性が残るからだ。

勝てば問題なし、負けた場合も可能性アリ

というわけで、現在の星取り表を大会公式アプリから。

IMG_3742

日本はなんと、現在3試合を終えて、3勝14PTS。全体でもこれより多くのポイントを持ってるのは、3戦3勝すべてでBPを取っているエディさん率いるイングランドの15PTSだけだ。

このあと、スコットランドはロシア、日本と2戦。

日本はスコットランドと1戦。

点差は9点。

直接対決に、日本が勝利すれば、もちろん日本は1位通過。

問題はスコットランドに負けた時。

選択肢はスコットランドの方が多いので、スコットランドを軸に考えよう。

スコットランドが決勝リーグに進出する(=日本が進出できない)のは、スコットランド2勝が必須条件。その上で、日本より1ポイント多いBPを取る必要がある(この条件なら、同点だと直接対決で勝っているスコットランドに権利がある)。

まずロシア戦でBPが取れた場合(その可能性は高いだろう)。日本戦で日本と同じか、それ以上のボーナスポイントを取る必要がある。つまりは、日本は7点差以内の負け、かつスコットランドの4トライを許さないのが条件。

ロシア戦でBPが取れなかった場合は、日本戦で日本以上のボーナスポイントを取る必要がある。つまり、日本を7点以上引き離して、4トライ以上しなけばならない。それを阻止すれば、日本が決勝リーグ進出。

(この他に、アイルランドがサモアに負けか引き分けて、日本とスコットランドが進出という可能性も0ではないが……。)

ともあれ、スコットランド戦に勝てば、文句なし全勝で1位通過。ややこしい条件を考えずに、それが一番いいし、僕らは選手たちを信じて応援するしかない。

とはいえ、ロシアの健闘を祈ってしまったりするのだが……(エコパに観戦に行きます(笑))

(村上タクタ)